解説&観測記録
●太陽黒点スケッチ法の解説
序
太陽黒点のスケッチは写真術が発明されていない昔の時代から行われてきた太陽観測の中では
最も古典的な観測法である。天文台などの研究機関では、現在はほとんど写真観測や自動観測に
移行されているが、誰でも手軽に一定の精度での観測ができるために、公共天文台や熱心なアマ
チュア観測家の間で今も観測が続けられている。この黒点数の推移は、太陽活動の周期を決める
基本的なバロメーターとなるため国際的なネットワークが組まれており、日本国内ばかりでなく
世界中で観測データのやり取りが行われている。
この黒点観測の意義は、太陽活動の指標となること、何百年〜何千年何万年という太陽活動の
長期変動を調べるための基本的な物差しとなることにあると言えよう。
観測法
最も簡単で安全に太陽観測ができる投影法での観測を行う。(注!太陽は決して直接望遠鏡で見てはいけない)
○観測機材
1 望遠鏡 =口径は6cm程度あれば十分。屈折望遠鏡がよい
2 太陽投影板 =スケッチ用
○整理に必要なもの
1 太陽面経緯度図 =黒点位置測定用。市販品(15cm径)
インターネット上でも入手可能
(BASS2000Ephemerids)

2 PBL表 =太陽自転軸表 (理科年表 太陽の自転軸など)
インターネット上でも入手可能(BASS2000Ephemerids)

http://bass2000.obspm.fr/ephem.php
Solar parameters (Carrington rotation, B0, L0, P)
3 黒点分類図 =チューリッヒ分類 (理科年表 太陽黒点の分類など)
ワルドマイヤーによる黒点型図
○ 観測手順と留意点
1 スケッチ 投影像の直径と同じ径の円周を書いた白色用紙に、太陽像を重ね忠実にスケッチ
する。このとき、まず黒点の外周部を描いてから詳細の記入をするようにすれば
太陽上での黒点群の広がり大きくなりすぎない。この観測の目的は、太陽面での
黒点群の位置と規模を正確に記録することにある。
2 計数 そのときに現れている群の中にある小黒点数をカウントする。この観測の目的は
黒点群の時間による推移を求め、黒点相対数Rを決定することにある。
3 方位出し 赤道儀の太陽追尾を停止し、任意の小黒点が投影板上を移動するその位置変化を
プロットする。この観測の目的は、スケッチ上での東西方向を知りそれをもとに
太陽上での黒点の経緯度を求めることにある。
留意点 *スケッチ観測は写真観測に比べ黒点群の位置精度が出にくい欠点がある。精度を
高めるためには投影像の直径をできる限り大きくするのがよい。
*活動期の太陽には多くの黒点群が出現する。群分けが一定でないと黒点相対数の
値の変動が大きくなるので、できるだけ群分けの基準を変えないようにする。
○ 計測と観測のまとめ
1 PBL 東西の方位からPBLの表で太陽自転軸を求める。つぎに経緯度図により赤道の傾き
Bを読み取る。更に観測時刻から中央経度Lを補正し、経緯度図により黒点群個々の
経緯度を読み取る。
2 群の分類 黒点分類に従って個々の黒点群の群分けと型とを決定する。
3 まとめ 黒点数表。黒点群表にまとめる。

太陽黒点相対月例報告 サンプル
年 月 日 時刻 N群数 N個数 S群数 S個数 中央群数 中央個数 シーイング
U.T.
2006 1 1 no_data
2006 1 2 no_data
2006 1 3 18 2 14 1 1 1 8 2
2006 1 4 119 2 10 0 0 0 0 2-1
2006 1 5 330 2 5 0 0 0 0 2-1
2006 1 6 205 1 1 0 0 0 0 1
2006 1 7 0 1 2 0 0 0 0 1-2
2006 1 8 0 1 2 0 0 0 0 2
2006 1 9 0 1 2 0 0 0 0 2
2006 1 10 240 1 3 0 0 0 0 2
2006 1 11 10 1 2 0 0 1 2 2
2006 1 12 0 1 2 0 0 1 2 2
2006 1 13 no_data
2006 1 14 no_data
2006 1 15 0 1 3 0 0 1 3 2
2006 1 16 no_data
2006 1 17 0 1 10 1 14 1 14 2
2006 1 18 218 1 5 2 14 0 0 1-2
2006 1 19 0 1 1 2 16 0 0 2
2006 1 20 0 0 0 1 11 1 11 1-2
2006 1 21 no_data
2006 1 22 125 0 0 2 34 1 33 2
2006 1 23 -100 0 0 2 28 1 27 1
2006 1 24 -100 1 3 2 36 3 27 2
2006 1 25 30 0 0 1 31 0 0 2
2006 1 26 0 0 0 1 18 0 0 2
2006 1 27 15 0 0 1 10 0 0 2
2006 1 28 0 0 0 1 2 0 0 1-2
2006 1 29 0 0 0 0 0 0 0 2
2006 1 30 150 0 0 0 0 0 0 1-2
2006 1 31 no_data
黒点群表 サンプル
2006年1月 (No.1) 川口市立科学館 観測者 詫間 等
群番号 NOAA太陽緯度 太陽経度 中央通過 観測開始 観測終了 黒点型と個数
N5270 10845 17---18 89---90 - JAN. 7 JAN.12 J2 J2 J2 J3 A2 A2
N5271 10846 4---6 66---73 - JAN.15 JAN.19 B3 - C10 B5 A1
N5272 10850 5---6 297---299 - JAN.24 JAN.24 A3
黒点群表 サンプル
2006年1月 (No.2) 川口市立科学館 観測者 詫間 等
群番号 NOAA太陽緯度 太陽経度 中央通過 観測開始 観測終了
S5905 10847 7---9 44---49 - JAN.17 JAN.19 C13 C13 B4
S5906 10848 17---21 316---327 JAN.21,22 JAN.18 JAN.28 A1 D12 D11 -* E33* E27 E35 E31 E18 E10 B2
S5907 10849 8 264 - JAN.22 JAN.24 A1 A1 A1


解説&観測記録
天文講座・講演会