天文FAQ

天文トピックス

●最近話題の天文話 2018年02月

 

○地球温暖化 
  1月26日朝、さいたま市では大雪の名残と強い寒気の流入で朝の最低気温がマイナス9.8度を
記録したという。街は凍りつき、残された雪がアイスバーンとなってスリップする人や車の姿が
あちこちで見られた。今年の冬はかってなく寒いという印象だ。そこでこんな逆説的話題を・・・。


 1月18日、NASAなどいくつかの機関から、2017年の世界の平均気温統計が発表された。
NASAによれば2017年の地球の平均気温は高く、1880年の観測以来2番めの暖かさだったという。
ただし、この年は気温上昇の要因となるエルニーニョ現象が見られなかったのでそれを考慮すると
2017年は観測開始以来これまでで最も暖かかった年になるとの分析もされている。
地球全体の平均気温はここ数年、毎年のように過去最高というレコードが更新されており、
年々暖かく、地球温暖化の傾向がますます顕著となっているようだ。
**以下NASAのHPから抜粋
Jan. 19, 2018 RELEASE 18-003
Long-Term Warming Trend Continued in 2017: NASA, NOAA
Earth’s global surface temperatures in 2017 ranked as the second warmest since 1880,
according to an analysis by NASA.
Continuing the planet's long-term warming trend,
globally averaged temperatures in 2017 were 1.62 degrees Fahrenheit (0.90 degrees Celsius)
warmer than the 1951 to 1980 mean, according to scientists at NASA’s Goddard Institute
for Space Studies (GISS) in New York. That is second only to global temperatures in 2016.
**ここまでNASAのHPから
上記によれば、2017年の世界の平均気温は1951年〜1980年の平均値と比べ0.9度C上昇しており、
この値は2016年に次ぐ高さになるという。
また英国象庁・米海洋大気局(NOAA)も同様の分析で2017年を観測史上3番めの暖かさとし、
違いが見られるが、これは集計処理のやり方による差異で、前者は年単位での集計、
NASAは長期的な傾向を見るため、年ごとの小変動を平滑化処理しての結果ということである。
このようにエルニーニョやラニーニャといった自然現象の影響を取り除いても

なお残るような かなり早いペースでの世界的な平均気温の上昇は、

人が排出し続けている温室効果ガスの増加蓄積が要因となっていると考えても誤りではないだろう。
何年か前のことだが、スーパーコンピュータを使っての地球温暖化シミュレーションがなされ、
それをもとにした赤い地球儀というのを見たことがあるが、

極地方やヒマラヤ山脈といった寒冷地域ほど 温暖化の影響が著しく、ダメージが大きいことが

感じられた。
(〜また、先だっては過去最大級の氷山が南極から分離したというニュースなどもあった。
温暖化による地球環境への影響はすでに各所に出始めていると言えるだろう。)

○温室効果と金星
私たちがこれまでと同じペースで二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を続けると、
将来、地球の平均気温が数度上昇し、海面上昇や気候変動などの影響が出ると言われている。
年数度ぐらいなら、暖かくなっていいのではという程度の感覚しか私たちは持てないが
温室効果の影響は全地球的観点から見ていくと予想以上のものがある。
その一例、この温室効果が暴走した極端な世界が身近な太陽系にある。
それはかって地球の兄弟星と言われた金星だ。
金星は地表温度500度、大気の主成分は二酸化炭素で、

地表付近の大気圧90気圧という高温かつ 濃厚な大気に覆われた世界である。

過去の地球の姿が金星と表されることがあるが 地球より太陽に近く、

厚い雲と濃厚な二酸化炭素による温室効果でこのような世界となったと考えられている。
地球には幸い海があったため大気中の二酸化炭素は吸収され、また鉱物として固定されるなどして減少、
極端な温室効果は働かず温暖な世界となったと言われる。こう見ると温室効果恐るべしである。

 

○地球史から見た温室効果
  上記は極端な例だが、温室効果は数十億年という地球史上でも大きな役割を果たしている。
その一つにスノーボール仮説というものがある。
それは今から6億年ほど前の地球は全体が凍結していたというもので、
この時代に活発化したマントルの運動で超大陸が誕生し、この陸から流された有機物が
堆積岩中に固定されることで(有機物が分解されないので)結果として二酸化炭素量が減少、
また大気中の二酸化炭素が、大陸から流され海水中に溶けたカルシウムと結合、
石灰岩として固定され減少。これにより温室効果が弱まって地球全体が寒冷化したという。
その後、海が凍りついてしまったことで、火山活動などで放出された二酸化炭素が吸収されず、
濃度が徐々に上昇、結果高濃度の二酸化炭素が蓄積され今度は温室効果が暴走、
温暖化が進んだというようなストーリーである。
  もう一つはマントルオーバーターン仮説。
これはマントル対流によってマントル中に沈み込んだ大陸プレートの残骸が徐々に蓄積され
あるとき深部(外核)に落ち込むと、その反動で逆の熱い上昇流(ホットプリューム)が活発化、
地殻に達し火山活動が激しくなり、超巨大噴火を起こし太陽光を遮断、寒冷化が進む。
この後、火山ガスの放出で二酸化炭素濃度が増して結果温暖化が進むというような
ストーリーで、温室効果ガスの増減は地球環境に大きな影響を及ぼすとされる。
  このような大きな環境変化は当然生物にも大きな影響を及ぼす。これまでの地球史でも
生物の大量絶滅が何度かあったと考えられ中でも2.5億年前の大量絶滅は特に有名だ。

 

○おわりに
  数年〜数十年といった短期的な気候変動は、地球大気や海流の流れなどによっておこされ、
これに数百年〜数千年といった中長期的な気候変動には(おそらく)太陽活動も関連し、
さらに数千万年〜数億年といったの非常に長い期間での気候変動は地球内部の運動が起因し
というように、地球温暖化・地球寒冷化には様々な要因があると考えられる。
今の温暖化の傾向は、すべてが温室効果ガスの排出が原因とは言えないかもしれないが
地球そのものや太陽活動によって起こされる環境の変動は、現状進みつつある変動より
はるかに長いスパンで起きると考えるのが自然だろう。
  ということで最低限、私たちは用心を怠らず、できることは実行していくという
そんなスタンスでいるのが良いだろう。  この項終わり