天文FAQ

天文トピックス

○サイクル24最大規模の太陽フレア

 9月初め、太陽上で大きなフレアがおこり話題となった。
このフレアに関連する低緯度オーロラが見られるかも知れないと
北海道での観測風景なども報じられていたが残念ながら空振りだったようだ。
同フレアと並ぶ規模のフレアは、前回サイクル23のとき=
2006年12月05日のX9.0で、それから11年ぶりという大きなものだった。
このとき、日本の太陽観測衛星ひのでの目は、この領域に向けられており
フレアの全過程をとらえている。興味があれば、ひのでWebサイト
(http://hinode.nao.ac.jp/news/)を参照するとよい。
  さて、まず当館HP太陽の欄、特報(9月)に書いたものを再掲する・・・
*2017年09月06日11時53分U.T(以下世界時)X9.3フレアを起こした黒点群NOAA2673について*
  同群は8月28日東出、この時はごく平凡なJ型群だったが、9月2日(日本では3日)に、
群の南側に半暗部を持たない微小黒点が発生
9月3日には急激に成長しイレギュラーな形状のH型群に
同4日には多極で全体が一つの半暗部に包まれたデルタ型群に成長、
この時点でフレア等活動現象の可能性が高まり、Cクラス、Mクラスフレアを頻発するようになった。
群は同5日、6日と分断しながらも成長、6日8時57分X2.2フレア、
そして11時53分X9.3/2B(注:2B 重要度2の明るいフレア)と、
今期サイクル24における最大規模のフレアを発生。
〜あわせて、タイプ2(衝撃波由来)、タイプ4(プラズマ等由来)電波バーストも発生〜
このとき群は太陽西半球側に位置しており、
飛来する荷電粒子による地球への影響も予想されたので、大きなニュースとなった。
なお、これらの現象はいずれも日本時間の夜に発生したもので、川口での観測はない。
・・・ここまで9月記事
  このフレアは極小期手前の太陽の活動度が一段と低くなっている時に起こったため
余計に注目されたもので、黒点群の発達の様子からフレアの可能性ありとは見られていたが、
幸運にも?その予想を上回る大イベントとなり、太陽観測者などの関係者を喜ばせたものだ。
また、同領域は西に没する10日15h35mUTにもX8.2フレアを起こしている。
黒点の持つ磁場のエネルギーは膨大で、大フレアでも、ほんの一部が消費されるだけ、
なので、活発な黒点群は何度となくこのような大きなフレアを起こすことがあるわけだ。
  また地球への影響という観点から見ればフレアの発生場所もポイントとなる。
地球に向いた側でおこるか否かで地球への影響の度合いが異なるからだ。
2度目の大きなイベントX8の時は西のリム、地球にそっぽを向いていたわけで影響は少ない。
これが最初のX9の時は、太陽西半球側(中央やや西より)に位置していた。
太陽からの磁力線は、太陽の自転によってスパイラル状に広がっている。
フレアによって宇宙空間に放出された荷電粒子は、この磁力線に沿って動くため
中央西側で起きたイベントの方が地球に影響を与えやすいということがある。
とそんなこんなの状況もあって今回のフレアは特に注目されたのだろう。

○デルタ型群〜フレアを起こしやすい黒点群
  大きく複雑な黒点群ほどフレアを起こしやすいのは言うまでもないが
その中でもデルタ型と分類される磁場構造を持った群はフレアを起こしやすいということで知られている。
これはNS反対極性を持つ暗部が大きな半暗部の中に混在するというもので
光学観測では、イレギュラーな形状の半暗部を持つ群と見える。
このような形状の黒点群は、NS極をつなぐ磁力線がねじれたような構造(シア構造)になりがちで
その歪みが増大することで不安定となり、フレアを起こすと考えられいる。
今回のNOAA2673もその磁場構造は複雑で、
ひのでの観測によれば、NSペアを作る領域の間に新しい領域が浮上してきて不安定となり
磁線のつなぎかえが起こり、それがフレアの端緒になったと見られている。

○フレアのタイプ
  フレアがおこると、X線〜可視光〜電波まで突発的に強度が増大する。
フレアは、その強度や規模によって次のように分類されている。
可視光観測では、フレアは面積と明るさによって、
重要度0〜4(面積小〜大 重要度ゼロはサブフレア)。
最大輝度で、明るい=B、ふつう=N、かすか=F。
X線観測では、その強度のピーク値から、
X、M、C、Bクラス(Xが最大、以下1/10ごとのステップ)と分類。
〜ニュースでは、今回のフレアは通常の1000倍ものエネルギーとあったが
X9=よく見られるCクラスの10倍の10倍の更に9倍で=900倍≒1000倍〜
  通常、フレアは開始後、数秒から1分ほどで急激に増光してピークに達し
その後ゆっくりもとの状態に戻っていく。
このようなフレアはインパルシブフレア(impulsive flare)と言い、
MクラスやXクラスの4分の1から半数ほどがこのタイプとなるという。
継続時間は、SIDCのデータ(sidc.be/news/332/welcome.html)によれば
B・Cクラスでは10分ほど、Mクラスではその倍の20分ほど、Xクラスでは30分ほどと
規模が大きければその分フレアの継続時間も長くなる傾向にある。
このインパルシブフレアは加速された電子による非熱的なイベントと考えられているが
一方これとは逆に、熱的フレアとされるLong duration flareと呼ばれる、
継続時間が数時間にも及ぶものもある。

○フレアの発生頻度
  太陽活動の極大期と極小期で大きく異なるのは言うまでもないが、
各サイクルごとにもかなり異なっている。
非常に大雑把な言い方をすると、
極大時期のXクラスフレアの発生頻度は年10回程度、
X10を超えるような大規模なものは年1回程度。
MクラスではXクラスのおおよそ10倍ほど
Cクラスではさらにその10倍ほどという感じとなり、
各クラスのX線強度比とほぼ比例するような発生頻度となっている。
  一方、極小時期でのXクラスフレアは年1回以下と極大時期とは1桁の差があり、
以下Mクラス、Cクラスとも上記同様の頻度の差がある。

○回帰したNOAA2673
  この記事を書いている9月末時点で、NOAA2673は回帰。
小型で単純な形状のJ型群NOAA2682として、だいぶ衰えてはいるが再びその姿を現わた。
〜NOAA2673の複雑な形状をした後続部が消滅、安定した形状の先行部が残された?〜
  同じく北半球側にあるNOAA2683も、9月初めにあったF型群NOAA2674の回帰群。
〜同様に後続部が消滅、先行部のみ残ったと見られる〜

 

 参考 9月3日の太陽面 NOAA2673(右)、 NOAA2674(左)

  

  8月29日の太陽面 NOAA2682(右) NOAA2683(左)