天文現象・ライブ配信

2022年11月8日 皆既月食(解説)

今回は見逃せない!条件の良い皆既月食

2022年11月8日、日本全国で観察できる皆既月食が起こります。月食は専用の道具がなくても観察することができるおすすめの天文現象です。以下の情報を参考に観察してみましょう。
また、科学館では月食当日の11月8日に特別観測会の開催と、天文台の望遠鏡によるライブ配信を予定しています。

天文台特別ライブ配信「皆既月食Live!」 ※配信は終了しました。観測画像はこちら
【配信日時】 2022年11月8日(火) 18:00~21:49
部分食の始まり 18:09 皆既食の始まり 19:16 食の最大 19:59 皆既食の終わり 20:42 部分食の終わり 21:49
※詳しい予報についてはこちらをご覧ください。
※天候によっては月食がご覧いただけなかったり、画像の更新が止まったりする場合があります。雨天時は中止します。
観測画像はこちら

      

月食とは何か?

月食とは、太陽光によってできる地球の影に月が入ることにより、月が暗くなったり、欠けたように見えたりする現象です。地球の影には「本影(太陽光がほぼ遮られた濃い影)」と「半影(本影を取り囲む薄い影)」の2種類があり、月が半影の中に入る場合を「半影食」、本影に入る場合を「本影食」といいます。一般に月食と呼ばれるのは本影食で、月の全てが本影に入る「皆既月食」と一部だけが本影に入る「部分月食」があります。
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皆既食 部分食
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見られる時刻と月の位置

今回の月食は、月が欠けながら昇ってきたり、欠けている途中で沈んだりすることなく、欠け始め(部分食の始め)から終わりまで月が昇っている状態で起こります。月は、18時9分から欠け始め、19時16分に皆既食となります。皆既食は86分間続いて20時42分に終わり、その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わります。この進行は、川口市以外でも、どこで見ても同じです。川口市での月の高度は、部分食の始めのときで18.3度、皆既食の始めのときで31.7度と、観察しやすい月食です。
月食中の月の位置
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地球の影に対する月の動き
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2022/11/08 部分月食
川口市(埼玉県): Kawaguchi

緯度:35.8078° 経度:139.7242° 標高:0.0 m 標準時:UT+9h
日時 方向角[°] 月[°] 視半径[″] その他
年月日 時刻 北極 極頂 天頂 高度 方位 半影 本影 月* 月** 角距離 食分 備考
2022/11/08 17h00.6m 76 -54 131 5.1 74.2 4430 2455 919 920 5349 0.000 半影食の始め
2022/11/08 18h08.9m 82 -57 139 18.3 83.1 4429 2453 918 923 3371 0.000 部分食の始め
2022/11/08 19h16.3m 102 -58 160 31.7 92.2 4427 2452 918 926 1534 1.000 皆既食の始め
2022/11/08 19h59.2m 157 -57 214 40.2 98.7 4426 2451 918 928 865 1.364 食の最大
2022/11/08 20h42.0m 213 -54 268 48.6 106.5 4425 2450 917 929 1532 1.000 皆既食の終り
2022/11/08 21h49.4m 233 -45 278 60.9 123.9 4424 2448 917 930 3365 0.000 部分食の終り
2022/11/08 22h57.8m 239 -20 258 70.0 156.6 4422 2447 917 931 5339 0.000 半影食の終り

国立天文台暦計算室 提供

観察のポイントは月の色

部分食の始まりや終わりの頃の食分の小さい状態では、本影に隠された部分(月の一部)が黒く、欠けたように見えるだけですが、 一般に、月全体が本影に隠される皆既中は、月が真っ暗になってしまうわけではなく、赤黒い(赤銅色の)月が見えます。
これは、地球の影の中に、地球大気を通過した赤い光が含まれているためです。下の図のとおり、地球の大気中では、太陽光のうち波長の短い青い光は散乱されてほとんど通過することができません。一方、波長の長い赤い光は散乱されにくく、大気を通過することができます。皆既中に赤黒い月が見られるのは、この通過した赤い光が大気によって屈折して本影に入り込み月を照らすからです。また、大気中のチリの量によって届く光の量が変わるため、見える色が毎回同じではないことが知られています。
皆既月食中の月が赤く見える理由
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月食中の月に隠される天王星

月食の最中に、小笠原諸島を除く日本のほとんどの場所で月が天王星を隠す「天王星食」が起こります。天王星の明るさは約6等級で、街明かりのほとんどない場所で視力の良い人が見えるぎりぎりの明るさです。満月に近い月による天王星食では、天王星に比べて月がはるかに明るいため、双眼鏡や望遠鏡を使っても天王星を見るのは簡単ではありません。しかし、今回は天王星が月に隠れる「潜入」のとき月が皆既食中で暗いため、比較的観察しやすくなっています。望遠鏡や双眼鏡をお持ちのかたは、観察に挑戦してみてはいかがでしょうか。川口市では、天王星が月に隠れる「潜入」が20時41分、隠された天王星が再び現れる「出現」が21時22分と予想されています。下記画像の東京での予報を参考にしてください。
天王星食(各地の予報)
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今後見られる月食

日本で次に月食が見られるのは2023年10月29日、明け方の空での部分月食です。川口市で次に皆既月食が見られるのは、約3年後の2025年9月8日です。
月食一覧(2030年まで)
日付 月食の種類 日本での状況
2023年10月29日 部分月食 日本の一部で見える(月入帯食)
2024年09月18日 部分月食 日本で見えない
2025年03月14日 皆既月食 日本の一部で部分月食が見える(月出帯食)
2025年09月08日 皆既月食 日本で見える
2026年03月03日 皆既月食 日本で見える
2026年08月28日 部分月食 日本で見えない
2028年01月12日 部分月食 日本で見えない
2028年07月07日 部分月食 日本で見える(月入帯食)
2029年01月01日 皆既月食 日本で見える
2029年06月26日 皆既月食 日本で見えない
2029年12月21日 皆既月食 日本で見える(月入帯食)
2030年06月16日 部分月食 日本で見える(月入帯食)

国立天文台暦計算室 提供

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