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太陽望遠鏡の観測についての解説

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Hα:水素原子の出す光を捉えた観測。波長は6553Å。太陽の殆どは水素とヘリウムで出来ており、太陽の表面には彩層と呼ばれる薄い層がある。これは地球で言えば大気のような物であるが、Hαでの観測では主にこの彩層の現象が観測できる。代表的な現象にはフレア、プロミネンスなどがある。
フレアは恒星で起こる爆発現象であり、瞬間的に1千万度から2千万度の高温になる事がある。同時に膨大なエネルギーを放出し、高エネルギーの粒子を宇宙空間へと放出する。
大きなフレアが起こるとこの粒子が地球まで届く事があり、地球上ではオーロラとして観測される事がある。
プロミネンスは言わば「雲」のようなものであり、彩層上空に現れる。
数日から数ヶ月程度存在し続ける事があり、中には上空へと飛び出すような噴出型のものもある。
Hαでの観測は古くから行われており、現在でも各地で続けられている。ポピュラーな観測の一つ。画像では赤く見えているが、実際にはモノクロのCCDカメラによって撮像されているので色は無い。後から擬似カラーをつけたものである。実際に肉眼で見ると赤く見える。
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白色光:特定の狭い波長(色)の光ではなく、我々が普通に見る太陽の光、連続光とも言う。実際にはある特定の連続した波長を観測している。言うまでも無く、最も古い観測はこの波長域の観測である。主に太陽の表面(光球)が見えており、代表的な現象は、黒点、白斑などである。
黒点は太陽表面に「しみ」のように見える現象であり、太陽表面が約6000度あるのに対し、
黒点は4千数百度程度しかないため、コントラストの差から黒く見えている。
黒点の観測は、古くはガリレオが行った記録が残っており、歴史的にも非常に長いデータの蓄積がある。黒点は太陽の活動を表しており、約11年の周期で太陽の活動が変化するのに伴い、黒点の数も増減する。活動が活発な時期には、巨大で複雑な黒点が出る事が多い。
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CaUK:カルシウム原子の出す光を捉えた観測。波長は3933Å。太陽の光を分光すると、虹色のスペクトルが得られるが、その中には真っ黒な線が見て取れる。これは吸収線と呼ばれており、太陽には幾つか特に強い吸収線が知られている。その中でも代表的な吸収線はHα線であり、それと並んで強い吸収が知られているのがカルシウムである。カルシウムでの観測で主に観測できるのは、黒点やプラージュなどである。
Hαの観測と良く似ているのであるが、良く見ると違いも分かる。また、磁場の構造を表している事も知られており、太陽の活動が活発な領域の他、太陽全面に網状の模様が見える。
Hαに比べると、太陽表面からの高さはやや低く、彩層の下部を観測している事になる。
カルシウムの観測は数が少なく、定常観測としては国内では数箇所しかない。
色は青で表現してあるが、実際には人間の目の感度ギリギリであり、十分明るい時でないとはっきりとは見えない。
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磁場:波長は6303Å。太陽の吸収線には磁場(磁力)に反応して変化する物が知られており、その波長を観測すると、太陽の磁場を測る事が出来る。これを応用して磁場を測る機械の事をマグネトグラフと言う。太陽の様々な活動は磁場が関係している事が現在では知られており、磁場を観測する事は現在の太陽観測ではなくてはならない物となっている。
太陽の黒点は磁場の強い所として知られており通常1組のペアとして現れる。磁石のN極、S極と同様に、ペアになっている黒点の一方はN極(画像の赤色)、他方はS極(画像の青色)と極性が違う。またフレアなどの爆発現象のエネルギー源は磁場のエネルギーであると考えられている。これら磁場を観測する事によって、太陽現象のメカニズムを解明するわけである。国内のマグネトグラフは、現在(2005年7月)3箇所だけである。
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